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ヴァンパイア<2012>

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岩井俊二はドラマ「ifもしも(打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?)」の頃から好きな映像作家で、特に「Love Letter」や「四月物語」なんかのほんかわした作品が好きです。
彼が「花とアリス」以来8年ぶりの長編映画を監督して、全編英語&カナダロケ、ヴァンパイアがテーマということで、これは「リリィ・シュシュ」系のダークサイド作品だな…と覚悟を決めて劇場へ。

果たして、ミニシアター系の映画館はガラガラでございました。
実際、作品はというと超・ダーク&ヘビーな内容でしたね。

物語はのっけから自殺志望の女性から血を抜いていく男性が登場してびっくりな展開でしたが、その男性は高校教師のサイモン(ケヴィン・ゼガーズ)で、病気の母(アマンダ・プラマー)と二人で地味~に暮らしている。
言うなれば猟奇的殺人事件の犯人なわけで、母親の扱い方も病的だし、こりゃヴァンパイアというより病んでる人間が主人公なのでは…それにしても次々と女性の血液を抜いていくから気持ち悪くなってきた…とつらい状況で観ていました。

サイモンが女性の血液を飲んで吐くシーンがあったりなんかして、ますます気持ち悪くなりながらも観ていると、あらあら不思議このサイモン青年にいつの間にやら感情移入してしまい、彼のことが世間に知れてしまうのではないかとハラハラしてきました。

彼の行為は絶対許されないものだし、彼自身もちっとも魅力的ではないのだけど、社会から疎外されているマイノリティという点で応援してしまう…のかなぁ。本当に、不思議な映画でした。
彼が本当にヴァンパイアだったのかどうかも、不思議なままです。

ちなみに、日本からの交換留学生という役で蒼井優が唯一日本人キャストとして出演しています。彼女の芝居は最近のドラマとかでは若干くどいな~という印象でしたが、岩井作品では活きますね。

by hobomovie | 2014-06-22 19:19 | 日本映画 | Comments(0)