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ものすごくうるさくて ありえないほど近い<2011>

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U2の「Where The Streets Have No Name」をバックに、9.11事故で亡くなった父親の残した謎を解く少年、という予告編がすごく感動的だったので、公開2日目に観に行ってきました。

大筋は予告編どおりなんですけど、当然のごとく事態はもっと複雑でして。
監督が「めぐりあう時間たち」「愛を読むひと」のスティーブン・ダルドリーなので、いい意味で回りくどいというか、すんなりストーリーが進まない感じはすごく好きでした。
彼の作品では「リトル・ダンサー」をまだ観ていないので、チェックしておかねば…

主人公のオスカー少年は、頭の回転はすごく速いけど、こだわりの強い性格で、どうやらアスペルガーの疑いもあり検査を受けた経験があるよう。

トム・ハンクス演じる父親トーマスはオスカーの理解者であり同士で、世の中のあらゆる謎を2人で解き明かすことを何より楽しんでいます。オスカーの長所をとことん伸ばそうとした、いいお父さんだったんだなぁとしみじみ感じました。

サンドラ・ブロック演じる母親リンダは、トーマスから愛される女性としてオスカーの尊敬を受ける存在だったけど、トーマスを失って母子の関係が難しくなります。
それよりなにより、トーマスがある日突然テロの犠牲になったという事実に、のこされたリンダとオスカーは苦しみ続けていて、観ているだけでつらくなる作品でした。

オスカーは、はっきり言ってそんなにいい子ではないので、観ているほうも感情移入しにくい部分があるんですが、それでも彼なりに前に進もうとしているのがよく表現されてました。
トーマスから残された留守番電話のメッセージとか、泣けました…それよりも泣けたのはやはり、ラストですけども。

テロからもう10年以上たったんだなぁと思うと、あれからの色々な事が胸をよぎって複雑でした。問題は何ひとつ解決してないですなぁ…
そして、いつの時代も国家の争いで犠牲になるのは民間人で、子供たちにも暗い影を残しているのだと思うとまた泣けてきます。
そういうことを考えさせてくれた作品でした。

オスカーを演じたトーマス・ホーンは映画初出演で、プロデューサーが素人参加クイズ番組で彼の目力にほれこんでスカウトしたという、それこそ映画のような展開でこの大役に大抜擢されたそう。
すばらしい!

パンフレットは本のようにカバーがついて、凝ったつくりになってます。ベストセラーになった原作のことに触れられていたり、評論が多く載っていたりして、読み応えありです。
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by hobomovie | 2012-02-25 16:49 | 外国映画 | Comments(0)

ブリューゲルの動く絵<2011>

d0088211_20415754.jpg16世紀、フランドルで活躍した画家ピーテル・ブリューゲル。
ワタシは「バベルの塔」の画家、と言われればああ、あの!という感じですが、他にも「雪中の狩人」などの名作を多く残しています。
その中で「十字架を担うキリスト」に焦点をおき、絵画の世界に入り込んだような映像を、「バスキア」などアーティスティックな作品を作ってきた監督レフ・マイェフスキがまとめあげました。

物語はブリューゲルが「十字架を担うキリスト」を描いていく過程を中心に進んでいくんですが、改めて絵を見るとキリストがゴルゴダの丘へ十字架を運ぶ場面でありながら、周りにいる人々は16世紀当時の服装であったり、当時繁栄を極めていたスペイン帝国の赤い騎士が描かれたりして、時代設定がおかしい絵なんですよね。

キリスト以外にもユダやマリアといった聖書に登場する人物や、行商人や子供たち、風車小屋などがあちこちに描かれていて、124×170センチもある大きな絵の中でいろんな出来事が起こっています。
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映画の中ではそれらひとつひとつを淡々と映像化していくだけで、これにはこういう意味が隠されているんですよ~というような謎解きぽいことは一切なく。観る側にゆだねられている感じでした。

d0088211_20403119.jpg最後は絵の世界から抜け出し、ウィーン美術史美術館にあるというこの絵から引いて行くというカットで終わります。1つの絵でここまで感じ取れたらすごいよなぁ~。
絵画に造詣が深くなくても、1つの絵の世界を旅できてしまうという面白い作品でした。
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by hobomovie | 2012-02-19 20:44 | 外国映画 | Comments(2)

ダーク・フェアリー<2010>

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「パンズ・ラビリンス」で初めてその世界を体験し、度肝を抜かれたギレルモ・デル・トロ。彼が30年間あたためたスーリーの映画化と聞いちゃあ、観ないわけにはいきませんぜ。

原題「Don't be Afraid of the Dark」
今回は脚本&製作のデル・トロはメキシコ出身で、オーストラリアのバックアップでロケが行われたということで、アメリカ・オーストラリア・メキシコ合作です。
カナダのコミック作家トロイ・ニクシーが大抜擢されて初監督です。

30年間あたためたストーリーというと聞こえはいいんですけど、実際は70年代に放映された「地下室の魔物」というTVムービーのリメイク。
郊外の屋敷に移り住んだ若夫婦が、地下室の魔物に襲われるというストーリーで、独特な演出方法と救いの無いエンディングが多くの人のトラウマとなった伝説的作品らしい。

両親の離婚で父にひきとられることになった少女サリー。父が修復作業に取り組んでいる古い洋館で、父とその恋人と一緒に暮らすことになったが、環境の変化になじめずに寂しい日々をすごしていた。
サリーには「サリー、一緒に遊ぼう」「友達になろう」という不思議な声が聞こえ、彼らの言うとおり地下室にあった封印を解いてしまったところから、恐怖が始まる…というストーリー。
こういう怖い話しってあるよね~という王道中の王道のストーリーなんだけど、ぐいぐいひきこまれました。
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父親をガイ・ピアーズ、父の恋人をケイティ・ホームズが演じています。ケイティは今や「トム・クルーズの嫁」という肩書きが最も強力だと思うんですが、ちゃんと女優さんもやってたんですね。作品を観たのは初めてだけど、なかなかいい感じで、なかなか心を開かないサリーと徐々に通じ合うところは、感動的でした。

そしてそのサリー。ベイリー・マディゾンという当時11歳の女の子ですが、すごいの一言。難しい役を見事に演じきっております。とにかく表情が独特なんだよな~。
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「背筋も凍るおとぎ話」というキャッチフレーズの今回の作品、あらゆる面で「パンズ・ラビリンス」にはかなわないかな~というのが正直なとこですが、海外での興行成績は結構なヒットを飛ばしているようで。
第二のティム・バートンとの呼び声も高いトロイ・ニクシーのこれからが楽しみですね。
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by hobomovie | 2012-02-11 10:01 | 外国映画 | Comments(0)

サラの鍵<2010>

d0088211_1055155.jpg第二次世界大戦中、フランスで実際にあったユダヤ人一斉検挙。まず彼らが収容されたのが屋内競輪場だったことからヴェル・ディヴ事件と言われています。
これはナチスドイツによるものではなく、フランス政府がドイツ軍と密約をとりかわし、フランス警察が実行したものだったことが、90年代になってシラク大統領に認められました。

ユダヤ人の少女サラは一斉検挙の日、とっさに弟を納戸に隠して鍵をかけます。
その後両親と一緒にヴェル・ディヴに閉じ込められ、収容所に移されてしまうサラ。
「かくれんぼだから、私が呼びに来るまでおとなしくしてるのよ」と言って隠した弟を、早く出してやりたい。なんとか弟のもとへ、というサラの願いはかなうのか?

…ここまでだと去年に観た「黄色い星の子供たち」と同じユダヤ人迫害の歴史を心に刻む作品のようですが、大きく違うのは現在エピソードと並行して物語が進んでいくところです。

パリで暮らすジャーナリストのジュリア(クリスティン・スコット・トーマス)は、雑誌でヴェル・ディヴ事件の記事を担当することになる。ちょうどその時、夫の祖父母から譲り受けたマンションをリフォームして暮らそうとしていたのだが、祖父母がその部屋を手に入れたのがユダヤ人一斉検挙のあった頃だということがわかり、夫の親戚に隠された秘密を探り始める…

サラとジュリア、ふたつの時代の物語が同時進行して、徐々に事実が明らかになっていくところが、すごくよくできていました。
サラの物語は悲しい結末をむかえてしまうけど、「弟を助けたい」という強い思いがなければ、あれほど過酷な状況を乗り越えることはできなかった。
けれども、サラの心には消せない大きな傷を残す結果にもなってしまったし…とても複雑な思いが残りました。
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ジュリアは作品を通してずっと悩み、苦しみ続けていたけど、前に進もうとするエンディングはさわやかで、救われました。
パンフレットは、鍵穴をモチーフにした作りになっています。これまた泣~け~る…
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by hobomovie | 2012-02-04 10:57 | 外国映画 | Comments(2)